個展に寄せて
by 松本亀吉
2019年5月24日。信じがたい訃報が届いた。
5年前に若くして亡くなった、とてもお世話になった美しい女性の、一人娘。 まだ20歳だった。
お母さんが健在だったころ、よく一緒に食事をした。聡明で絵の上手な女の子で、小学生なのに「あしたのジョー」にハマっていて「あしたのジョーについてなら朝まで話せる」と言った。そんな小学生はいない、これは将来有望だぞとみんな笑った。高校生のとき、長い闘病の末にお母さんが亡くなり、すっかり大きくなった姿を葬儀で見た。その彼女が亡くなったのか。本当に信じられない。間違ってる。順番が違う。
亡くなってから教えてもらったTwitterアカウントには往年のロックスターを描いた可愛いイラストがたくさんアップされていて、彼女が多くのフォロワーに支持されている様子がうかがえた。「あごヴィシャス」と名乗り、70-80年代のロックに傾倒していたようだ。小学生で昭和の漫画を探求してた凝り性の彼女だから若くして古いロックを聴き漁ったのだろう。スターたちを描くことでファンを増やし、イラストレーターとしてのポジションを確立しつつあった矢先の急逝だった。
告別式で、お父さんがウクレレ弾き語りでデヴィッド・ボウイの「スターマン」を歌った。
空でスターマンが待ってる / 彼はぼくらに会いたがってる / だけどぼくらの心を乱すんじゃないかって思ってる/ 空でスターマンが待ってる/ ぼくらの心は乱れない/ すべてのことに意義があると彼は知ってるから/ 彼は言った/ 子どもたちをロックに夢中にさせるんだ/ 子どもたちにロックを聴かせて/ 子どもたちみんなを踊らせるんだ
彼女がぼくたちを地上に残して空へ旅立って1年。そちらの世界はどうですか。たくさんのロックスターに囲まれてお母さんと一緒に安らかに、穏やかに過ごしていることでしょう。こんな空想をすれば、哀しみが少しだけ和らぐ。
あごヴィシャスはスターガールになったんだ。
松本亀吉 (まつもとかめきち)
1967年、大阪府豊中市生まれ。愛知県東海市在住。会社員。文芸同人誌『溺死ジャーナル』主宰。90年代に雑誌のコラムニストとして活動。著書に『歌姫2001』(2000年/太田出版)。共著に『アイドル楽曲ディスクガイド』(2014年/アスペクト)など。
松本亀吉weblog作品の原画を高精度スキャンした画像です。Twitterで公開されている作品との雰囲気のちょっとした違いをお楽しみください。
ほんの少しだけ未発表作品もあります。
あごヴィシャスがネットに遺した軌跡です。
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あごヴィシャス@個展 @agoviciousdrawsあごヴィシャスのTwitterアカウント。ロックスターのファンアートはここで公開されていた。没後も告知などが投稿されている。 https://twitter.com/agoviciousdraws |
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あごンディ@agondieあごヴィシャスの別アカ。私生活をネタにした「ぺろぺろ日記」がアップされている。 https://twitter.com/agondie |
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あごヴィシャスのオリジナルグッズ通販あごヴィシャス(Ago Vicious) (agoviciousdraws )のオリジナルグッズ通販 ∞ SUZURI(スズリ) https://suzuri.jp/agoviciousdraws |

















